2011年10月18日

八王子市の放射線測定に対する問題点



東京都から新たにシンチレーションサーベイメータ(日立アロカメディカル社 TCS-172B)が23区の保険所及び保険所政令市(八王子市・町田市)に各1台貸与されることになった。 これにより日立アロカメディカル社製を使用し、週1回市内12か所の定点観測を続ける。また既存のDOSERAE2、2台を用い教育施設等(小・中学校、幼稚園、保育園、学童保育所・児童館・児童公園・交通公園)368施設を対象に、11月より1回限り、順次測定を実施する。
 
八王子市が動き出した。第18回東日本大震災対策本部会議
市がどのように教育施設の測定を進めるのか
現在の測定を参考に問題点を整理してみた。


八王子市の放射線測定に関する事項は東日本大震災対策本部会議で決定されている。

 
 
【現在の測定状況】 

八王子市のホームページ
 
・・・この情報だけでは見えてこないもの
①測定12か所、各々の測定ポイントはどこ?
②測定ポイントの地面の状態は(アスファルト、芝、土、砂、くぼ地?)
③測定値は公園内の最大?最小?平均? 他は測ったの?
④測り方に疑問
⑤測る目的に疑問 
⑥空間線量しか測らずに安全と言えるのか。
 
 
 
①②について12か所の八王子市測定ポイント写真

落合公園(高尾町)  砂の上


 
 
わくわくビレッジ(川町)  砂の上




 
 
松竹農村公園(下恩方町)  野原の土の上



 
 
美山中央児童遊園(美山町)  砂の上







鳥栖公園(川口町)  野原の土の上




 
清水公園(犬目町) 砂の上



 
 
 
久保山公園(久保山町二丁目)  土の上
遊具から離れたグラウンド中央


大和田河川敷広場(大和田町三丁目)  砂の上
遊具がない河川敷の公園。人がいない・・・
 
 
大塚公園(松が谷)  土の上
遊具に近いが、なぜか滑り台の下ではない

 
 


上柚木公園(上柚木二丁目) Tさん、写真提供ありがとうございました! 
測定台がある場所が市のポイント

遊具からかなり離れたグラウンド中心近く。子供は砂場にる。



宇津貫公園(七国六丁目)  土の上
近所の方、写真募集します。







富士森公園(台町二丁目)

子供がたまるのは左の砂場、滑り台など
枯葉混じりの砂の上










測定ポイントは公園内の最大値?最小値?平均値?
 市の測定ポイントは公園内の最大値ではないことは、富士森公園の測定からわかった。10月12日市の測定日に測った中で最大値0.133μsv/hが鉄棒の下で出ているが、市の定点ポイントは約半分の数値だった。



測り方に疑問
 DOSERAE2の数値が他の計器に比べて変動が少ないうえ、5㎝と1mの比較ではっきりと変化が出ていないので感度に疑問がある。
 最初の5分は数値安定のために計測していないが、その後の2分間を30秒間隔で測っている。5分に1回の間隔をくり返さずに真の値に近い数値が出るのか疑問がある。
 木の角材に載せて雨の日に測っているのはどうなのだろう。







⑤測る目的に疑問
 これだけホットスポットが都内で出ていながら、同じようなみず道を調査せず、比較的低い数値が出るところしか測らないのは、危険を除去する目的ではないのか。子供の遊具の近くで測っていない。




⑥空間線量しか測らずに安全と言えるのか。
 相模原市の空間線量と土壌セシウム含有量が必ずしも一致していない件、北野台の土壌検査でヨウ素が検出された件、周辺の影響を受けやすい空間線量計の限界。調査数が少なくて傾向がはっきりしない。







【教育施設の新たな測定にたいする不安】
東京新聞10月18日31面
 昨日17日に足立区の学校の雨どい下で3.99μSv/hが区民により発見された。区は7月に教育施設の調査を終えていた。定点だけでなく局所的に線量が高い場所の調査や対処法を早急に考えたいとしている。
 上にあげた問題点がある中、八王子市は同じ測定器DOSERAE2で1回きりの測定を11月から開始する。同じやり方ならば校庭の中心を2分間、感度が疑わしい計器で測って安全を確認することになる。
 8月19日に八王子市教育委員会は『掃除しているので汚染は見つからないはず』と、話していた。










【市民の立ち会いで効率化】
東京新聞10月18日28面
 北野台ながれの公園で、仲野敦子さんが事前に空間線量を測り、土壌調査をして汚染がわかった件。
 市は新たな調査には積極的ではないが、除染の対応は早かった。市職員のことを考えると、事前に市民がプレ調査して職員と短時間で汚染地を確認し、除染に時間をかけてもらうほうが早いという考え方もある。しかし線量計を持っていない市民としては高性能の測定器で市にすべて測ってほしいと思うのは当然だ。
 八王子市職員も大変だと思う。DOSERAE2は八王子市役所に二つしかない。現在、環境部環境保全課職員は12ヶ所の公園を4人で測っている。DOSERAE2は11月からそれぞれの教育施設の所管部に貸与される。11月から年末までの平日は40日程度、368校は毎日測っても一日約10校ペースで測らないと終わらない。たとえ中心を一か所測っても足立区の様なケースが増えていくと、再度市民から高性能器での測定要望は出てくるだろう。何度も無意味な測定をするより、除染を目的にした測定に切り替えてほしい。いずれにしても市が測定スケジュールをオープンにしてくれないと、市民も対策がとれない。早く解決するには両者の歩み寄りが必要かもしれない。



【何度も測る必要性】
 八王子市ホームページの測定結果には天気の表示がないが、定点観測の数値が10月5日に上がっているのは雨だったから。1週間後の12日に数値は戻っている。流れてどこかにたまっていると考えると、樋の下は一度掃除しても風向きと雨で再び上がっているかもしれない。





日立アロカメディカル社製TCS-172Bの測定】
 現在の公園12か所の定点観測はこの機種に変更することによって数値が低くでるのではないだろうか。もしそうでもそこで安堵しないでほしい。高いところはその場所ではないのだから。
 高性能機種を上記のような定点観測に使う八王子市の目的がよくわからない。







【八王子市長への申し入れ】
 現在市民グループ『八王子・子どもの未来を守る会』が11月からの市の測定方法について、17日に市長に要望書を提出した。協議は下記の予定。保護者をはじめ多くの市民に来てもらえるよう声をかけている。

日時:10月24日 12時40分
場所:八王子市市役所玄関前(雨天の際は建物内ロビー)集合
連絡先E-mail:mamorou.kodomo8@gmail.com 
代表 仲野敦子・高橋亜由美・縄井千乃


<以下10月17日付け要望書より抜粋> 

  1. 現在市内12箇所の公園の測定している簡易測定器(DoseRAE2)ではな く、高精度の空間放射線測定器(日立アロカメディカル社製TCS-172Bなどと同精 度の機器)の使用
  2. 敷地内の測定箇所については校庭の中央などではなく、特にマイクロ ホットスポットの可能性のありそうな場所(雨樋の下、地形が低く雨水などが流 れ込みやすい場所、排水溝・側溝の周辺、落ち葉が溜まったり苔の生えそうな場 所など)を教職員や保護者によって選定して行う。1箇所に限らず、可能なかぎり 複数箇所を測定 
  3. 数値の高い場所が確認された際には専門機関へ土壌検査を依頼し、核 種(放射性ヨウ素131、放射性セシウム134及び137、ストロンチウム等)の分析を 行うと同時に除染を行うこと 
  4. 全測定値を速やかに市ホームページで公表すること 
  5. 市内測定スケジュールの公表及び保護者や近隣住民による立会い 
  6. 測定は今回一度限りと限定せず、今後も未発見のマイクロスポットを見つけ る目的で定期的に行うこと